キッチンカーの月商はどのくらいが現実的なのか。これから始める方も、始めたばかりの方も、月商のイメージがつかない方が多いのではないでしょうか。
キッチンカーの月商の幅は広く「月30万〜100万円以上」とばらつきがあります。平均値で語りにくい商売の一つです。この記事では、どのくらいの月商が多いのか・1日の売上の計算方法・売上を左右する要因・目標から逆算する考え方を整理します。
月商30〜60万円のキッチンカーが多い
キッチンカーのなかでも多いのが月商30〜60万円の層です。月商30〜60万円に落ち着くのは、週4〜5日稼働・1日売上1.5〜3万円という組み合わせが現実的な稼働パターンとして多いためです。
1日3万円の売上を月20日稼働で達成すると月商60万円になります。客単価800〜1,000円のランチ業態なら、1日30〜40食の販売が1日3万円の売上に相当します。
ひとり運営で天候や場所の制約もあるなかでは、この水準が無理なく続けられる範囲です。
なお、売上から原材料費・車両費・出店場所の使用料などの経費を引いた利益(税引き前)は、月商の50〜60%前後が一つの目安です(原価率や出店料、稼働の仕方によって大きく変わります)。月商60万円なら、経費を引いた利益は30〜36万円前後という計算になります。ここからさらに税金や社会保険料を支払う点には注意が必要です。
開業にかかった初期費用の回収見通しや生活費の兼ね合いは、事前に一度試算しておくと判断がしやすくなります。
開業初年度は変動が大きい
開業から1年未満の時期は、月商が安定しにくいことがほとんどです。
- 出店場所の開拓が進んでいないため、出店日数が安定しない
- 季節や天候の影響にどう対応するかがまだわかっていない
- メニューや価格設定をまだ試行錯誤している
特に最初の1〜3か月は、月商10〜20万円台になることも珍しくありません。この時期に月商が低くても、焦る必要はありません。
年間を通して平均すると月商30万円台になるケースもあります。出店場所が少しずつ定まり、認知が積み重なっていく1〜2年目で徐々に上がっていくケースが多いようです。
月商100万円を超えるケースの条件
月商100万円以上を達成しているケースもみられます。ただし、いくつかの条件が重なっているケースがほとんどです。
- イベント・フェスなど単価・集客力の高い場所への出店を積極的に組み合わせている
- 客単価が1,200円以上の商材を扱っている
- 週6日前後の高稼働で運営している、または複数台・スタッフ雇用で展開している
ひとりでの運営でも達成できる水準ではありますが、体力的・時間的な負荷も高くなります。「月商100万円が目標」という場合は、出店パターンと自分の体力・生活設計とのバランスを先に整理しておくと判断しやすくなります。
1日の売上は「客単価 × 販売数」で決まる
月商を考えるうえで、まず「1日にいくら売るか」を分解してみると整理しやすくなります。
1日の売上は「客単価 × 販売数」で決まります。月商は、これに出店日数をかけた「1日売上 × 出店日数」です。この2つの式のどちらを動かすかによって、月商を上げるアプローチが変わってきます。
客単価と販売数の組み合わせで1日の売上が変わる
ひとり運営の場合、現実的に目指しやすいのは1日30〜50食の範囲です。以下は出店日数20日で計算した月商の目安です。
客単価 | 1日30食 | 1日50食 |
|---|---|---|
800円 | 約48万円 | 約80万円 |
1,000円 | 約60万円 | 約100万円 |
1,200円 | 約72万円 | 約120万円 |
「1日50食」は、ランチタイムの2〜3時間で1時間あたり20食前後、数分に1組のペースで売れれば届く数字です。ただし場所・商材・知名度によって大きく左右されます。
客単価の違いが月商に大きく影響することも、この表からわかります。「1日の食数をもっと増やさないと」と考える前に、「客単価を少し上げられないか」も検討してみる価値があります。
出店日数と稼働パターンの違い
月商は出店日数によっても変わります。
稼働パターン | 月の出店日数目安 | 備考 |
|---|---|---|
週3日稼働 | 12〜13日 | 副業・育児中などの兼業型 |
週4〜5日稼働 | 16〜20日 | 個人事業主の標準的なパターン |
週6日稼働 | 24〜26日 | 高稼働型。体力・場所確保が前提 |
出店日数を増やすと月商は上がりますが、仕込み・移動・撤収を含む体力消耗も大きくなります。体力的な持続性を考えると、出店日数を増やすより客単価を少し上げる方が長続きしやすい場合があります。特に出店日数を増やしにくい局面では、客単価の見直しが選択肢になります。
月商を左右するのは出店場所と商材
月商の幅が大きい理由の一つは、「どこで、何を、どのくらい売るか」によって結果が大きく変わるためです。自分の想定している出店スタイルがどの月商帯に近いか、照合してみてください。
出店場所の種類と売上の関係
出店場所は月商に最も影響する要因の一つです。なお、マルシェとは食や雑貨を集めた屋外の市場・販売会のことで、キッチンカーが参加できる場の一つです。
出店場所の種類 | 特徴 | 月商への影響 |
|---|---|---|
オフィス街・工場前 | 固定客が見込みやすい。ランチ需要が安定 | 安定型。1日1〜3万円が多い |
商業施設・マルシェ | 施設側との契約次第。集客力に依存 | 場所によって幅が大きい |
イベント・フェス | 1日の売上が大きいが、頻度は限られる | 単発で5〜10万円超えも |
住宅街・公園前 | 天候・曜日に左右されやすい | 変動が大きい |
オフィス街への固定出店は「安定しやすい」点で開業初期に選ばれやすいですが、1日の最大売上も場所の規模に制限されます。一方、イベント出店は単発の売上が大きくなる可能性がある反面、頻度の確保が難しく、準備コストも増えます。
商材・単価帯が月商に与える影響
何を売るかによって、現実的な客単価の範囲が変わります。
- 日常消費型(クレープ・たこ焼き・から揚げ・カレーなど):客単価600〜1,000円前後。回転数が稼ぎやすい反面、単価を大きく上げることが難しい商材もある
- 専門性・体験型(本格スパイスカレー・ガレット(そば粉のクレープ)・クラフトバーガーなど):客単価1,200〜1,800円前後。価格への納得感が得られやすいが、知名度の構築に時間がかかることが多い
- ドリンク特化型(コーヒー・スムージーなど):客単価500〜800円前後。フードより仕込みが少なく回転数は上げやすいが、単価が低いため販売数を多く確保する必要がある
「単価が高ければ月商が上がる」とは限りません。高単価の商材は集客に時間がかかることも多く、安定するまでの期間が長くなる傾向があります。
月商目標から1日の販売数を逆算する
「月商をいくら目指すか」が決まったら、そこから「1日に何食売ればいいか」を計算してみてはいかがでしょうか。目標の金額を毎日の販売数に置き換えると、自分にとって達成できそうな数字かどうかが見えてきます。
客単価と出店日数で必要食数が変わる
出店日数20日を前提に、月商目標・客単価別の1日必要食数を整理します。
月商目標 | 客単価800円 | 客単価1,000円 | 客単価1,200円 |
|---|---|---|---|
40万円 | 25食 | 20食 | 17食 |
60万円 | 38食 | 30食 | 25食 |
80万円 | 50食 | 40食 | 34食 |
月商60万円を目指す場合、客単価1,000円なら1日30食が目安です。1日30食は、ランチタイム3時間で1時間あたり10食のペースです。これは固定出店場所が確保でき、さらに一定の認知ができてきた段階で現実的になる水準といえます。開業直後からすぐに達成するのは難しいこともあります。
まずは、月商40万円(客単価1,000円・1日20食)を最初のステップにすると、目標として取り組みやすくなります。
出店日数か客単価か、どちらを先に動かすか
月商が目標に届いていないとき、「出店日数を増やす」か「客単価を上げる」かで、対策が変わります。
- 出店日数を増やす場合:月商は単純計算で増えますが、仕込み・移動・撤収を含めた体力消耗も大きくなります
- 客単価を上げる場合:出店日数を変えずに月商を上げられますが、メニュー構成・場所での信頼性が伴っていることが前提です
どちらが自分の状況に合うかを確かめるには、1日の販売記録(何食売れてトータルいくらだったか)があると判断がしやすくなります。
まとめ
自分の月商はどのくらいになりそうか、イメージできたでしょうか。
キッチンカーの月商は、多い層で月30〜60万円、条件が揃えば100万円超もあり、出店場所・商材・稼働パターンによって幅があります。「平均いくら」よりも、自分がどの条件に近いかを照合する方が、実態に近い見通しが立てやすいです。
月商の感覚がつかめたら、次は開業にかかる費用や開業に必要な資格・許可についても確認しておきましょう。

