キッチンカーの開業を調べていると、「発電機って本当に必要なの?」「買うとしたら何W(ワット)のものを選べばいい?」と迷うことはないでしょうか。発電機がそもそも必要かどうかは出店場所によって異なり、必要な出力電力(W数)はメニューや使用機器によって変わってきます。キッチンカーの発電機について、自前で用意すべきかどうかの判断から、必要なW数の見積もり方、選ぶときの確認ポイントまで、順番に見ていきます。
発電機は必ず必要?キッチンカーの電源確保
キッチンカーの電源を確保する方法は、大きく4つあります。
- 発電機を持ち込む
- ポータブル電源(持ち運べる大容量バッテリー)を持ち込む
- サブバッテリー(車載の補助バッテリー)を使う
- 出店場所で電源を借りる(コンセントを使わせてもらう)
電源は自分で持ち込み?
発電機の持参が必要かどうかは、出店場所によって変わってきます。商業施設の前などで単独出店する場合は、施設側の電源を借りられることもあります。一方、複数のキッチンカーが集まるイベントなどでは、電源は各自で持参するのが一般的です。
電源を借りられる出店場所でも、無料の場合もあれば、出店料とは別に電源使用料がかかる場合もあります。出店場所ごとの電源事情は、事前に確認しておく必要があります。
発電機以外の選択肢
ポータブル電源とサブバッテリーは、あらかじめ充電しておいた電気を使う方法です。
- ポータブル電源:バッテリーと変換装置、コンセントが一体になった持ち運び型の電源。家庭のコンセントで充電し、出店時に持っていけばそのまま使えます。
- サブバッテリー(車載):車に据え付ける家電用の補助バッテリー。走行中や太陽光パネルなどで充電し、変換装置を通して車内で家電を動かします。
いずれも燃料や排気がなく静かに使える一方、蓄えた電気を使い切るとそれ以上は供給できません。そのため、冷蔵庫・照明・レジなど消費電力の小さい機器への電力供給が中心になります。短時間の出店であれば、これらでまかなえることもあります。反対に、電気フライヤーや電子レンジなど消費電力の大きい機器を長時間使う場合は、容量が足りなくなりやすく、発電機のほうが現実的です。
必要なW数は、使用機器の消費電力から考える
発電機が必要となれば、次に考えることは「出力電力が何Wのものを選ぶか」です。
必要なW数は、使用する機器の消費電力(W)を合計し、そこに少し余裕を持たせて考えます。
目安として、合計W数の1.2〜1.5倍程度を見ておくと、急な負荷にも対応しやすくなります。たとえば、使用機器で必要な電力の合計が2,000Wなら、2,400〜3,000W程度の出力を持つ発電機が候補になります。
主要機器の消費電力の目安
キッチンカーでよく使う機器の消費電力を見てみましょう。
消費電力(W)は、機種やメーカーによって幅があるため、あくまでも目安です。手持ちまたは購入予定の機器のサイトやカタログで消費電力を確認すると、より正確に見積もれます。
機器 | 消費電力(W)の目安 |
|---|---|
冷蔵庫 | 100〜300W程度 |
冷凍庫 | 100〜400W程度 |
電子レンジ | 1,000〜1,500W程度 |
IHクッキングヒーター(電磁調理器) | 1,000〜2,000W程度 |
電気フライヤー | 800〜1,500W程度 |
製氷機 | 200〜500W程度 |
炊飯器 | 350〜1,300W程度 |
商材・調理方法別に見る必要W数の目安
キッチンカーで販売する商材によっても、必要なW数は大きく変わります。特に注目すべきは、ガス調理が中心か、電気調理が中心かです。
ガスで焼く・炒める調理が中心なら、電気は冷蔵や照明などに絞られ、必要W数は小さめで済みます。一方、電子レンジやIH、電気フライヤーを多く使うと、必要W数は一気に大きくなります。
調理方法別の必要W数
自分の商材と調理方法がどこに当てはまるか、下の表を参考にしてみてください。ここでの必要W数は、機器の消費電力の合計に余裕(1.2〜1.5倍)を含めた、選ぶ発電機の出力の目安です。
調理方法 | 主な使用機器 | 主な商材例 | 必要W数の目安 |
|---|---|---|---|
ガス調理中心 | 冷蔵庫・照明(加熱はガス) | クレープ・たこ焼き など | 1,000W前後〜 |
電気調理中心 | 電気フライヤー・IH など | から揚げ・ホットサンド など | 2,000〜3,000W程度 |
加熱調理なし | 冷蔵庫・製氷機・ブレンダー | ドリンク・かき氷 など | 1,000〜2,000W程度 |
ガス併用で電力需要を抑える
必要W数が大きすぎると感じたら、調理の一部をガスに寄せる方法もあります。加熱をガスでまかなえれば、電気に必要な出力が下がり、小さめの発電機でも足りることがあります。電気とガスのどちらに寄せるかは、開業前のメニュー設計の段階で考えておくと、機器選びもぶれにくくなります。
定格出力と最大出力の違い
見積もったW数をもとに発電機を選ぶ際に関わるのが、出力の種類です。発電機の出力には「定格出力」と「最大出力」の2つがあります。定格出力は連続して安定的に出せる出力、最大出力は起動時などの一瞬だけ対応できる出力を指します。
起動時に電力が跳ね上がる機器
冷蔵庫や製氷機など、モーターやコンプレッサー(圧縮機)を持つ機器は、動き出すときに一瞬だけ大きな電力を必要とします。これを起動電力と呼びます。起動時に一瞬流れる大きな電流は、機器によっては定格の数倍(大きいものでは6〜8倍程度)に達することもあるとされています。
定格出力と最大出力の両方を見て選ぶ
前述の通り、最大出力は起動電力の跳ね上がりに一瞬だけ応えられる出力です。
定格出力だけを見て選ぶと、起動電力が重なった瞬間に容量が足りなくなることがあります。モーター系の機器を使うなら、最大出力にも余裕があるかを確認しておくと、営業中に電気が止まるリスクを下げられます。
発電機の選び方 — W数以外で見るべきポイント
必要なW数が見えたら、次のポイントも合わせて見ておきます。
インバーター式 or スタンダード式
発電機は、電気を安定させる仕組み(インバーター)を備えた「インバーター式」と、その仕組みを持たない「スタンダード式」に分かれます。
インバーター式は電圧が安定した電気を供給できるのが特長です。電子レンジやIHのようにマイコン(制御用の電子回路)を内蔵した調理家電は、電圧が乱れると誤作動や故障につながることがあります。レジやタブレットを発電機から給電・充電する場合も同様です。こうした機器を使うなら、インバーター式を選んでおくと安心です。
一方のスタンダード式は、構造がシンプルで価格を抑えやすいのが利点です。ただし電圧が変動しやすく、精密機器には向きません。加熱がガス中心で、電気は照明や保冷などの単純な用途に絞られる場合は、スタンダード式でも対応できます。
騒音レベル
住宅街やイベント会場では、静かさが求められる場面もあります。
購入を決める前に発電機の騒音値(dB=音の大きさの単位)を確認しておくとよいでしょう。目安として、50〜60dB程度はエアコンの室外機くらいの音量です。ただし許容範囲は出店場所や時間帯によって変わります。インバーター式は比較的静音性が高いものが多く、騒音対策の面でも選ばれやすいです。
発電機の運転音はお客様や出店場所の近隣住民などへの配慮にもつながるため、できるだけ静かなタイプを選べると安心です。
燃料・稼働時間
燃料の種類(ガソリン・カセットガスなど)と、満タンにした場合の稼働時間も確認します。1日の営業時間をカバーできるか、途中で給油が必要かによって、出店時のオペレーションが変わってきます。
大きさ・重さ
発電機は、出力電力が大きい機種ほど大きく重くなる傾向があります。車両への積み下ろし作業や車内スペース、出店場所での設置スペースなどを考慮して、検討が必要です。特にワンオペ出店の場合は、ひとりでも安全に積み下ろしや移動ができる重さかどうか、確認しておきましょう。
価格
キッチンカー向けの発電機は、選ぶブランドや出力によって価格に幅があります。下の表は、国産の主要ブランドの新品・インバーター式で見た場合の目安です。価格は時期や在庫で変わるため、参考程度に見てください。
出力クラス | 価格の目安 | 向いている用途 |
|---|---|---|
1,000〜1,600W | 10万〜20万円程度 | 小型・負荷の軽い用途 |
2,000〜2,800W | 15万〜30万円程度 | 一般的なキッチンカーの主力帯 |
3,000W前後〜 | 20万円台〜 | 電気調理が多い運営 |
一方で、海外系の廉価なブランドには、同じ出力でも5万円前後から見つかるものもあります。国産機より初期費用を抑えやすい反面、耐久性や購入後のサポートの前提が異なる点は頭に入れておきたいところです。
いきなり購入するのがためらわれるなら、レンタルで使い勝手を確かめてから決める方法もあります。最初はレンタルから始めて、同じ出店場所や同じ商材のキッチンカーがどのような発電機を使っているのかリサーチしてから購入するのもよいでしょう。
まとめ
キッチンカーの発電機選びは、次の流れで考えると整理しやすくなります。
- まず、自分の出店スタイルで発電機がそもそも必要かを確認する
- 必要な場合は、使用機器の消費電力から必要とする発電機の出力W数を見積もる
- 冷蔵庫などの起動電力を考慮して、発電機の最大出力も確認する
- W数以外の確認ポイントを見て、自分に合っているか確認する
安い買い物ではないからこそ、自分に合った長く使える発電機を選びましょう。
発電機以外にも、開業時に必要なキッチンカー設備について気になる方は、次の記事もぜひご覧ください。

