出店予定の管理や出店中のレジや注文管理、さらには売上管理や分析まで。キッチンカーのあらゆる業務をサポートしてくれる「Shuppa(シュッパ)」というアプリをご存じですか?実はShuppaを作っているのは主に自動車を製造するモビリティ企業のスズキです。
今回は、「Shuppa」のサービス企画を担当するスズキ株式会社の松島さんに、アプリの誕生秘話や、キッチンカー事業者さんとのやりとりの中で見えてきた課題について、お聞きしました。
Shuppa(シュッパ)Shuppaはキッチンカー・移動販売事業者さんのためのアプリです。予定管理や当日のレジ業務、宣伝、売上分析まで、スマホひとつでサポートします。
モビリティ企業のスズキが、キッチンカーアプリを作った理由
―― まず、Shuppaとはどんなアプリなのか教えてください。
Shuppaは、キッチンカーをはじめ、車両を使って場所を固定せずに販売を行う移動販売事業者さんのためのスマートフォンアプリです。
移動販売には「手が回りにくい」「効率化しにくい」業務が多くあります。そうした業務を、事業者さんが毎日使っているスマホひとつで完結できるようにしました。出店予定の管理、レジ、注文管理、売上分析などが主な機能です。
―― Shuppaはどのように誕生したのですか?
スズキは以前から、多くの移動販売事業者さんが集まる「軽トラ市」というイベントをサポートしてきました。軽トラ市は、軽トラックを店舗に見立て、荷台に食料品や衣類、雑貨などの商品を陳列して販売する臨時の市で、全国各地で開催されています。軽トラ市の現場に入り込むなかで、移動販売事業の「楽しさ」と「課題」の両方を痛感したことがShuppaの出発点でした。
構想を始めた当初は、開業時の課題に重きを置き、アプリでの支援を検討していましたが、既に開業している事業者さんから現場の声を集めると、運営面の課題が予想以上に多いことがわかりました。
そこで、移動販売業界の維持・発展のためには、事業を長く継続する人を増やしていくことが必要だと考え、まずは事業者さんの日々の運営をサポートする方針でShuppaの開発プロジェクトがスタートしました。
―― 自動車の製造が主力事業のスズキがアプリの開発にチャレンジすることになったのは、なぜですか?
移動販売やキッチンカーは、車両があってはじめて成り立つ業態です。しかし、軽トラ市をはじめ、現場を通して見えてきた運営面の課題は、車両をお届けするだけでは解決できないものでした。
課題の多くは予定管理や売上管理、分析といった、デジタルで解決し得るものだと仮説を立て、そこからアプリという形に行き着いています。
現場に足を運んだからこそ見えた、リアルな課題
―― 移動販売の現場との接点は、どのように作られたのですか?
スズキの行動理念のひとつでもある「現場・現物・現実・原理・原則」の三現・二原主義を大事にしてきました。軽トラ市などのイベントを通じて、移動販売の事業者さんやイベント主催者の方と直接お話ししています。
リリース前の2023年5月には「いわた☆駅前楽市」(静岡県磐田市)で一部機能の実証を行い、また、2024年3月から10月にかけては、長期間にわたって12の事業者さんに、お試し版アプリを日々の運営の中で利用していただきました。ヒアリングやユーザビリティテストのような一時的な接点にとどめず、実際の営業で利用いただくことで、長期的な課題まで捉えることができたと思います。
この姿勢はサービスインした現在も続けています。出店中のユーザーを訪問したり、定期的にヒアリングを実施したりすることで、実態に即したサービス提供を意識しています。

―― 事業者さんとのコミュニケーションで見えてきた「運営面の課題」とは、具体的にどんなものでしたか?
多くの移動販売事業者さんは、半年前の予定確定や抽選申込・結果待ち、直前の予定変更など、常に予定管理に追われていました。また、仕込みなどの出店準備と当日の営業オペレーション、帰宅後の片づけの繰り返しで精一杯になり、あとから実績の振り返りや、たまったデータを分析して次に活かす、というところまで手が回らない人が多いことに気づいたんです。さらに、ワンオペ・ツーオペ(1人または2人での運営)の方が多く日常の業務負担が大きいことや、勘や経験に頼らざるを得ない場面が多いということも見えてきました。
こうした運営面の課題が事業者さんの生活に直結していて、事業を維持することの難しさにつながっていました。
新メニュー開発、商材へのこだわり、お客様とのコミュニケーションなど、移動販売の本質的な楽しさに時間を費やせない、もどかしい状況だと感じました。
―― Shuppaの企画・開発に活きた、事業者さんとの印象的なエピソードがあれば教えてください。
お試し版を使っていただくなかで「レジのタップ数を減らしたい」「アルバイトの方にも使わせたい」といった声をいただきました。現場で必要とされるスピード感や新しい需要が具体的に分かり、ピッタリ会計やスタッフアカウントといった現在の機能につながっています。
リリース後にも、嬉しいお声をいただいています。「Shuppaのおかげで日々分析ができるようになって、メニュー数の増加につながった」「レジ画面で売上を確認しながら営業中にも在庫を最適化でき、売上アップにつながった」「電卓を使っていたレジ担当者が安心してレジ打ちできるようになった」という声など。
中でも特に忘れられないのは「もうShuppaは、なくてはならない存在」という言葉をいただけたことですね。

キッチンカーのあらゆる業務をShuppaでサポート
―― Shuppaはどんな利用シーンを想定しているのでしょうか?
出店前・出店中・出店後のすべてのプロセスで使ってもらえることを想定しています。
出店前は、毎回場所が異なる移動販売に最適化した出店予定の管理が中心です。出店中は、レジを打ちながらリアルタイムで売上を把握。そして出店後は、蓄積されたデータから次につなげるための分析ができます。さらに、移動販売の運営で重要な集客をお助けする機能もあります。
個人事業主の方が多く、日々の営業が生活に直結する業態だからこそ、ひとつの業務だけを切り出すのではなく、事業者さんのライフスタイルに溶け込み、インフラとなって支えるアプリを目指しました。
―― 出店前・出店中・出店後、それぞれの機能で特にこだわったポイントを教えてください。
それぞれの場面に、現場の声や移動販売ならではの事情から生まれたこだわりがあります。
- 出店前:出店予定
出店予定に販売商品や出店場所を紐づけられるようにしました。これによって、レジ画面にその日販売する商品のボタンだけが表示されるようになります。また、出店場所を記載したカレンダー画像を出力して、SNS投稿に活用いただくこともできます。ほかにも、搬入・搬出の時間や持ち物の変化に対応したリマインド通知、定期出店に嬉しい予定の繰り返し設定など、細かいこだわりも詰まっています。
- 出店中:レジ・注文管理
商品をタップするだけで会計でき、アルバイトの方でも安心して使える操作性を目指しました。ワンオペでも素早く会計できるよう、紙幣・硬貨を模したレジボタンにし、ワンタップで会計がさっと終わるピッタリ会計も用意しています。会計が完了した注文は注文リストに一覧化され、提供ミスや、複数人オペレーションにおける注文の伝達ミスを防げます。
- 出店後:振り返り・分析
「知らなかった・知りたかったに応える」ことをテーマに、感覚に頼っていた部分を見える化しました。目標売上の管理、12か月の売上推移、月次の売上実績、商品の販売ランキングなどを視覚的に確認できるようにしています。売上情報を出店場所や天気ごとといった移動販売ならではの軸で絞り込んだ分析も可能です。

―― Shuppaをより効果的に活用するために、やっておくとよい設定はありますか?
商品・出店場所・出店予定を登録することで、レジや売上分析は使えるようになります。そのうえで、より正確な分析で実態を把握し、改善につなげるために、3つの設定をおすすめしています。
- 1. 出店場所への「郵便番号・住所」の登録
位置情報から出店場所の天気を割り出せるようになり、天気別の売上分析が使えるようになります。天候によって売上がどのくらい変わるのかが数字で見えると、仕込みの量や出店するかどうかの判断に活かせるはずです。また、出店予定のカレンダー画像にも住所が記載され、お客様への正確な出店場所の周知も手軽になります。
- 2. 商品ごとの原価率の設定
Shuppaでは利用開始時のチュートリアルで回答いただいた商品ジャンルに応じて、目安の原価率が商品に自動で設定される仕組みになっています。そのままの値でも分析は可能ですが、ご自身で設定している原価率や実際の仕入れ値を入れていただくと、より実態に近い粗利(売上から原材料費を引いた利益)が見えてきます。
- 3. 各種手数料の登録
出店場所ごとの出店手数料や、決済方法ごとの決済手数料などを登録できます。商品の原価だけでなく、出店にかかるコストを差し引いた実態を確認することで、本当に採算がとれているかを意識しながら運営することができます。出店料は出店終了後すぐに算出されるため、イベント主催者への報告もスムーズになります。
移動販売を営むすべてのひとに、喜びとワクワクを。
―― あらためて、Shuppaの一番の強みはなんですか?
キッチンカーをはじめとした、移動販売事業者さんの業務に特化したアプリであるということです。
他のレジアプリではあまりない、会計と注文確認を並行して操作できるレジ画面や、出店場所ごとの分析などのメイン機能のほか、予定の下書き保存や出店料の詳細設定など、痒い所に手が届く細やかな機能も充実しています。ひとりまたは少人数で、日々場所を移動しながらの運営だからこそ必要な機能をそろえ、経営全体をサポートできる点が魅力だと考えています。
―― 移動販売事業者さんに、Shuppaを使ってどんなことを実現してほしいですか?
これまで勘や経験に頼ってなんとなくでこなしていたこと、わからなくてモヤモヤしていたこと、さらには課題にすら感じていなかったことに、「いつの間にか」気づき、Shuppaをきっかけに改善の糸口を見つけてほしいと考えています。
Shuppaをご利用いただくことで、振り返りと改善を繰り返す習慣ができ、移動販売をより一層楽しめるようになってほしいです。
―― 最後に、これからの展望と、全国のキッチンカー事業者さんへのメッセージをお願いします。
2024年11月末のサービスイン以降、事業者さんとのつながりを大切に、直接対話しながら毎月機能をアップデートしてきました。たくさんの事業者さんのご協力のおかげで、現場のリアルに即したアプリに成長したと実感しています。これからも現場の声を反映するこの姿勢は継続していきます。将来的には、Shuppaに蓄積されたデータをユーザーへ還元し、日々の業務のあらゆる場面で、必要な情報が最適な形で手元に届く仕組みにできればと思っています。
Shuppaは「移動販売を営むすべてのひとに、喜びとワクワクを。」という思いで運営しています。忙しくて手が回らない日々の負担を少しでもShuppaが引き受けることで、みなさんが安心して移動販売の楽しさそのものに集中できる環境を作っていきたいです。
これからも、常に事業者のみなさんに寄り添う存在であり続けたいと思っています。ご意見・ご要望がありましたら、お気軽にご連絡ください。

まとめ
Shuppaは、自動車を利用するすべての人・現場に向き合ってきたスズキだからこそ生み出せた、移動販売の課題にとことん向き合うアプリ。
インタビューを通して、「移動販売・キッチンカーをもっと楽しんでほしい・続けてほしい」「そのためにShuppaが助けになりたい」という松島さんの想いが伝わってきました。
Shuppaの魅力をたくさん語っていただき、ありがとうございました。
アプリが気になる方は、ぜひダウンロードして試してみてはいかがでしょうか。
Shuppa(シュッパ)Shuppaはキッチンカー・移動販売事業者さんのためのアプリです。予定管理や当日のレジ業務、宣伝、売上分析まで、スマホひとつでサポートします。

