新宿・渋谷・千駄ヶ谷エリアでタコライスのキッチンカー「FOOD BOX ラクダ」を運営するマオさんへのインタビュー第3弾。今回のテーマは、開業したあとに多くの人がつまずく「出店場所探し」です。どうやって場所を見つけ、どう見極め、どのくらいで定着したのか。マオさんが「いちばん大変だった」と振り返る、キッチンカー出店場所探しのリアルを聞かせてもらいました。
―― 独立してから最も苦労したことを尋ねると、マオさんの答えは「出店場所探し」でした。開業後に多くの人がぶつかる出店場所探しについて、じっくり話してもらいました。
出店場所探しが、いちばん大変だった
―― 開業してから、特に苦労したことはなんですか?
安定的に売上を上げられる出店場所を探すことですね。キッチンカーに特化した出店場所マッチングサービス(出店場所を貸したい側とキッチンカーをつなぐサービス)に登録すれば、出られる場所自体は見つかります。ただ、開業して間もないうちは、なかなかいい場所(売れる場所)を紹介してもらえないことも多いんです。
そういう場所で頑張っても、なかなか売上は伸ばせません。売れないからまた次の場所を探して、そこでも実績が積めなくて…という悪循環にはまりやすいんですよね。なるべく非効率な場所を転々とすることは避けたいと思っていたので、そのぶん出店場所探しには苦労しました。
―― 開業したばかりだと、いい場所に入りにくいのはなぜでしょうか?
人気の場所は出店応募も多いですから、場所提供者がキッチンカーを選べる状況です。実績のない新しい事業者に、いきなり条件のいい場所を任せるのは、やっぱり不安ですよね。お互いの立場を考えると、仕方ない部分もあるんですよね。
でも出店する側からすると、いい場所に入れないと実績が積めない、実績がないといい場所に入れない、というのがずっと続く。申し込んでも落とされたり、たとえ出店できてもなかなか売れなくて、また場所を探さなきゃいけない。出店場所が安定せずに悩んでいるキッチンカーさんは、本当に多いと思います。
現在の出店場所にたどり着くまで
―― 具体的には、どのように出店場所探しを進めましたか?
会社としても、私個人としてもサイトや人脈などあらゆる手を尽くして出店場所を探しました。うちのボス(運営会社の代表)はもともとキッチンカー業界の人ではなく、不動産関係の仕事をしています。自社で管理している場所に出店できるケースもありましたが、既存のキッチンカー出店場所に詳しい人が社内にいるわけでもなかったので、見つけるのはなかなか大変でした。
そこで私は、修行時代のつながりも頼ってみることにしました。修行時代のキッチンカー会社で知り合った方に、候補エリアの印象や空いている場所はないか聞いてみたり。修行時代に築いた人脈が、活かせた場面でもあります。
現在の出店場所については、それぞれ次のような経緯で出店に至りました。
曜日 | 出店場所 | 出店歴 | 出店に至った経緯 |
|---|---|---|---|
月 | 南青山 | 約2年 | 自社で管理している出店場所 |
火 | 西新宿 | 約2年半 | 修行時代からお世話になっている管理会社さんを通じて |
水 | 千駄ヶ谷 | 約2年 | 修行時代からお世話になっている管理会社さんを通じて |
木 | 飯田橋 | 約3ヶ月 | 出店場所管理者の方に直接連絡して申し込み |
金 | 渋谷 | 約2年半 | キッチンカー仲間の紹介でつながった管理会社さんを通じて |
―― 出店場所探しにおいて知っておくとよいことはありますか?
いいなと思う出店場所が見つかっても、曜日が合わなかったり、同じ場所にすでに出ている車とメニューが被ってしまったりなどの理由で出店がかなわないこともある、というのは意識しておいた方がよいと思います。いろいろな条件を同時に満たす場所を見つけるのは、想像以上に難しいんです。
マッチングサービスは、人脈がなくても使い始められるのがいいところです。最初は条件のいい場所に出店できなくても、地道に実績を積んで後にいい場所に行けた、という成功体験を持っている方も周りにいます。ひとつの場所で粘り強く出店するというやり方も、選択肢のひとつだと感じています。
出店しながら、自分に合っているのか見極める
―― マオさんは、最初に見つけた出店場所にずっと安定的に出店されているのですか?
全然そんなことはないです。私の場合は、曜日ごとに異なる5つの出店場所で営業していますが、特に木曜日がなかなか決まらなくて、今の場所に出店するまで、いろいろな街を転々としました。出店場所ごとに特徴も違って、同じように営業しても売れ行きに幅があることは、今も日々感じています。
いろいろな場所を転々とする中で、そもそもキッチンカーが浸透していない街での出店も経験しました。そのエリアで生活する人たちに、キッチンカーで食事を買う、という選択肢自体がない場合はかなり苦しかったです。2〜3ヶ月で見切りをつけて、別の場所へ移ったこともありました。
―― その場所での出店を続けるか、見切りをつけるか、どのように見極めるとよいのでしょうか?
私自身も、とても迷いましたね。なんとなくの感覚としては、できれば1年は続けてみないとわからないよね、という気持ちはあります。1つの出店場所で売上が悪くても、もし他の出店場所が安定していて、トータルで赤字にならないなら、粘り強く出店を続けてその場所を育てていく、という考え方もありだと思っています。
でも、私も開業当時は金銭的にも余裕がなかったので、あまりにもダメそうなら、移動しながら試していくしかなかったのが現実です。2〜3ヶ月で全然手応えがなくて諦めた場所もあれば、1年以上続けてじわじわ変わってきた場所もあります。
開業初期に関しては、売上や体感的なそのエリアへの定着具合など、自分なりの基準を決めて、半年くらいを目安に判断するのがいいんじゃないかなと個人的には思います。
定着のサインは、お客様からの「こんにちは」
―― マオさんにとって、出店場所に定着してきたと感じる判断基準はなんですか?
準備中や営業中に、お客様の方から私を見つけて「こんにちは」と声をかけてくれるようになったら、「あ、この場所に馴染んできたな」と感じます。それが、その場所に出店し続けたいか、を判断するひとつの基準になっています。だいたい出店を始めてから半年くらいで実現できたら嬉しい、という感じです。おかげさまで、今はどの現場も定着してきたかなと思っています!
―― 毎日そこにある店舗じゃないからこそ、キッチンカーでお客様に覚えてもらえることは特別ですね。
そうですね。挨拶してくださる方は、少なくとも1度来店してくださった方や、私のお店の存在を認識してくれている人だと思います。それだけじゃなく、お客様自身が「ここの店員は自分のことを認識しているだろう」という予想ができないと、なかなか通りすがりに自分から声をかけるってできないと思うんですよね。だから私が気づく前に声をかけてもらえると、信頼してもらえたのかなと感じて、とても嬉しいんです。
このような体験の積み重ねが、出店場所を継続するモチベーションになっています。

イベントやマルシェへの出店
―― 定期出店場所のランチ営業以外に、イベントにも出店されていますよね。
はい。学園祭やマルシェ、スポーツ系のイベントなどに、機会があれば出店しています。出店経路はさまざまです。学園祭に関しては、ボスのお子さんのご縁で呼んでいただいて、2年連続で出店しています。また、東京でとあるマルシェの運営を担当している方から、InstagramのDMで声をかけていただいて、出店したこともあります。
このようにInstagramで見つけてもらえることもあるので、日頃から出店情報やお店の様子を積極的に発信することも大事だなと思いますね。
―― ご自身でイベントに申し込むこともありますか?
もちろんあります。スポーツ系のイベントなどは応募をして選考、という形が多いです。地元が神奈川なので、横浜スタジアムで募集があるときは、よく申し込んでいます。とはいえ、競争率は高めでなかなか難しいので、出店できたらラッキーくらいのモチベーションで応募していますね。
イベント出店の際に主に利用しているのは、CDA(CATERING & DELIVERY-SERVICE ASSOCIATION)さんです。
他にも、キッチンカーズジャパン、モビマル、モビクックなどのサービスに登録しています。
出店場所きっかけで生まれる事業者コミュニティ
―― 出店場所を通じて、他のキッチンカー事業者さんとの交流が生まれることってありますか?
ありますね。出店場所がご近所の事業者さんとは、自然と挨拶をして、営業の合間でお話することもあります。お互いひとりで営業していることが多いので、近くに同じキッチンカーの人がいると、それだけで安心感があります。
イベントなどで3〜4台が並ぶ現場だと、余裕のある時間帯には車から降りて雑談したり、情報交換の場になりやすいです。普段、私は平日のランチ営業でポツンと1台で出ていることも多いので、イベントで他のキッチンカー事業者さんと話せる機会は貴重ですね。
これからも、お客様はもちろん、キッチンカーを共に頑張る事業者さんとのつながりも大切にしながら、お店を成長させていけたらいいなと思っています。

まとめ
―― 出店場所探しの大変さから、定着のサインまで、たくさんの実体験を話してくれたマオさん。
出店場所は「マッチングサービスに登録すれば解決する」という単純なものではなく、探し方・見極め方・定着までの期間、それぞれにリアルな実態があることが見えてきました。
- 開業して間もないうちは、いい場所に入りにくいことが多い
- 会社経由・人脈・マッチングサービスなど、複数の手段で並行して探す
- 安定的な出店場所に出会うまでは、自分なりの基準を持って見極め
- お客様から声をかけてもらえるようになることが、ひとつの定着サイン
なかなか思うように売れないとき、出店場所を変えるという選択肢があることは、キッチンカーならではのポジティブな側面でもあります。
今出店している場所がある場合は、お客様との小さなコミュニケーションを大切に積み重ね、お客様から声をかけてもらえる日を目標のひとつに置いておくと、今の場所で出店を続けるかどうかを考える手がかりになりそうです。
ここまでたくさんのお話を聞かせてくださったマオさん、本当にありがとうございました!
1日の流れや、キッチンカーとの出会いから独立までの道のりについてのインタビュー記事も、ぜひあわせてご覧ください。

FOOD BOX ラクダ
新宿・渋谷・千駄ヶ谷エリアを中心に出店するタコライスのキッチンカー。野菜たっぷりのタコライスが人気で、毎週楽しみにしているリピーターも多い。出店スケジュールはInstagramで確認できます!



